*嘘月とオオカミ先輩*



隣から伸びてきた大きな手のひらが、あたしのこぶしを優しく覆った。


静かに横を見上げると、優しげな大きな瞳と目が合って、

先輩のその柔らかな表情と温度に、こわばっていた体は少しずつ緩み始める。



きっと、この人の体温は、


いつだってあたしを簡単に溶かしてしまうんだろう。




やがてフロア中に通るような声で、サクヤ先輩が話しだす。


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