*嘘月とオオカミ先輩*
「あーもう、しっかり歩いてくださいよ」
「しっかり歩いてんじゃん」
「しっかり歩いてる人は、他人に掴まったりしません」
先輩の肩を抱えるようにして、ネオンの光る通りを歩く。
先輩は身長があるから、肩を抱えるというよりも、圧し掛かられている格好に近い。
「ツッキーはホント、いいやつだよなぁ」
「何言ってんですか酔っ払い」
もはや後ろから抱きつかれるような形で、ずるずると先輩を引きずってる。
「あー重いなもう」
文句を言いながらも見捨てて置けないのは、惚れた弱み以外のなにものでもない。