*嘘月とオオカミ先輩*
「うわ、すごいいっぱいある」
スポーツ用品店のテニスコーナーで、あたしは立ち竦んでしまった。
お店の壁一面にラケットがぶら下ってる光景は壮観だ。
「こんなにいっぱいあったら、どれ買えばいいかホント悩みますね」
「まぁー基本的には色とか形とか、自分の好みでいいと思うけどね」
言いながらサクヤ先輩が1つ1つラケットを手に取る。
あたしも数あるラケットを見渡して、自分好みのものを探してみる。
「ツッキーは案外力持ちだから、ガットは固めでもいいんじゃないかな」
なんせホームラン王だし、といって先輩が笑う。