*嘘月とオオカミ先輩*
先輩とは家の方向が同じで、週2回あるテニスサークルの帰りにこうやってお茶をするのが日課になってる。
お茶といっても先輩は必ずアルコールが入るけど。
いつものことだった。
サークルの打ち上げで飲んで、さらにあたしと2人でまた飲んで、
酔っ払って彼女の愚痴をいっぱい零し、そして……。
「ツッキー……」
お酒の匂いがする吐息を、あたしの耳に吹きかける。
先輩の視線の先にあるのは、怪しく光るオレンジのネオン。
ダメですよ。
なんて気の利いた言葉を、あたしは言えない。