*嘘月とオオカミ先輩*
「ツッキー、甘いもの食いたくね?」
振り返ったあたしに投げかけられた言葉。
「え?」
心臓がドキっと跳ねた。
サクヤ先輩はあたしの腕を掴んだまま、反対の手で後方を指し示す。
「せっかくだから、ケーキ屋付き合ってよ」
「え、でも……」
「オレ今どーしてもケーキが食いたいの! けど男1人じゃ入りづらいからさ」
いつもの笑顔に、有無を言わさぬ強引さが隠れてる。
「あ、はい……」
気圧されて、つい頷いてしまった。