*嘘月とオオカミ先輩*
もしかして先輩があんなにたくさんお酒を飲むのは、アルコールの力で彼女への罪悪感を消したいからかもしれない。
少し離れた場所に住む彼女とはなかなか会えないから、代わりにあたしをつかって……。
そんなことを考え始めたらキリがない。
だから、ベッドの上では思考を停止する。
ただ単に、目の前にある体温にしがみつく。
お酒の匂いと先輩の温度と白いシーツに身体を沈めて、襲いくる波に身を任せればいい。
その温もりは愛しさが混じった心地よい波。
流されながら、あたしは密かに好きですと呟く。
先輩に聞こえないように、胸に閉じ込めるように。