*嘘月とオオカミ先輩*


肩を掴んでくる先輩を振り払って、ベッドを抜け出た。



「ツッキー……頼むから……もっかい考え直して」



背中に響く先輩の声は、あたしの胸を締め上げる。


それでも服を着て、鞄を持って。

呆然としてる先輩を振り返った。



苦しくてたまらなかったけど、



「先輩」



本当に、幸せだったから。



「楽しかったです」




最後は笑顔で。


< 78 / 382 >

この作品をシェア

pagetop