*嘘月とオオカミ先輩*

 不自然な距離に



暗闇を煌々と照らす照明は、明るすぎて虫が寄り付かない。



「あれ? 今日ツッキー休み?」



コートに並んだ1年を見て、友坂が短い金髪頭をガリガリ掻いた。



「珍しいな。あの子が休むなんて」



同意を求められ、「あぁ」と曖昧に頷いてみせる。



……顔合わせづらいのは分かるけど。

これからもずっと来ないつもりかよ。



と思った瞬間、フェンスの向こうから見慣れた小柄な影が走ってきた。

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