*ミーくんの好きなひと*
Love me 06. 踏み出す明日
何をしてても心が晴れない。
そういう状況は初めてで、むしろ新鮮だった。
明るく見えていた通学路も、にぎやかな教室も、薄い灰色を塗りこめたようにどんよりしてる。
そして不思議にも、わずらわしいと思っていた友達の存在に、救われてる自分がいた。
ひとりで戻れない日々のことを考えているより、他愛のない話をしていた方が気が紛れる。
マキもノゾミも、私が教室に入ると寄ってくるところは相変わらずだけど、ノゾミの方は少し様子がおかしかった。
休み時間になるとふらっと1人でいなくなるし、いつもキツめの口調で毒舌が絶えないのに、今日は拍子抜けするくらいおとなしい。
「ノゾミ、どうかしたの?」
あまりの意気消沈ぶりに、マキに事情を尋ねるけど、彼女は「さあ」と首をひねるだけだった。