*ミーくんの好きなひと*
ミーくんのことが、
好きで、好きで、大好きで、
あきらめるなんて考えられなかった。
「同じ人に3回告白して、3回フラれた」
ひどく恥ずかしい玉砕記録なのに、自慢げな自分が可笑しい。
「はは、悲惨」
ノゾミも、小さく笑いをこぼした。
2人の間に沈黙が下りて、優しい風が頬をなでる。
ざわざわと揺れる枝葉を見下ろしながら、
「……あたしもね――」
彼女の言葉が、空気に滑り出していった。
見下ろせる木々は、これから色を染めて、葉を落として、
春になったらまた芽吹く。
痛みを覚えた心も、そんなふうに再生していくのかな。