*ミーくんの好きなひと*


ミーくんのことが、


好きで、好きで、大好きで、


あきらめるなんて考えられなかった。




「同じ人に3回告白して、3回フラれた」



ひどく恥ずかしい玉砕記録なのに、自慢げな自分が可笑しい。



「はは、悲惨」
 


ノゾミも、小さく笑いをこぼした。



2人の間に沈黙が下りて、優しい風が頬をなでる。



ざわざわと揺れる枝葉を見下ろしながら、




「……あたしもね――」
 


彼女の言葉が、空気に滑り出していった。






見下ろせる木々は、これから色を染めて、葉を落として、

春になったらまた芽吹く。
 


痛みを覚えた心も、そんなふうに再生していくのかな。




< 106 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop