*ミーくんの好きなひと*
「ねぇねぇねぇ、何してんのこんなとこで。友達と待ち合わせ?」
知り合いでもないのにめちゃくちゃ軽い調子で話しかけてくる。
ナンパだ。
「相手が来るまで俺とお話しない?」
うざー、と思いながら茶髪男を無視をして携帯を取り出した。
あと2分で待ち合わせの時間だけど、遅刻魔だから遅れるかなぁ。
考えている私の正面に立ちふさがり、茶髪男は1人で話続けてる。
「君、かわいーよね。学校でモテんでしょ」
モテるよ、と心で思っても口にはしない。
「高校生でしょ? どこ校? 俺はこの近くの――」
言いながら男が私の肩に手をかけようとした瞬間、
「萌」
低い声に呼ばれた。