*ミーくんの好きなひと*

 

挙動不審を見咎められて焦っていると、上半身裸のままのミーくんが近づいてきた。
 
私の傍らにしゃがみこんだ瞬間、石鹸のにおいが立ちのぼる。


「ん? なにそのメモリ」
 

問いかけるその顔はきょとんとしてる。
 

怒ってる様子はない。



「……あの衣装ケースの中に、落ちてて」
 

中を見ようかどうか悩んでたことは黙ったまま答える。


「あの中に? へーなんでだろ」
 

なんかの拍子に紛れたかな、と不思議そうに呟いて、濡れた髪をわしわしとタオルで乾かしてる。
 

隠してたわけじゃないのかな?


「……これの中身、なに?」
 

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