*ミーくんの好きなひと*


訊ねても、ミーくんの表情は変わらない。


「さあ、なんだろ。見てみれば」  

「え、いいの!?」

「ああ」
 

見てみれば、なんて。
 
別にやましいものじゃないんだ。
 

ほっとすると、今度は好奇心が膨らんでくる。
 

メモリをパソコンに差し込んでファイルを確認する。
 
ミーくんも後ろから画面を覗き込んでいた。


「あー……これ、昔の携帯のバックアップだ」
 

表示されたフォルダ名を見て透明な声が呟く。


「携帯の?」
 

確かにアドレス帳だとか、ミュージックフォルダなんかが並んでる。


「見ていい?」

「別に面白いもんなんて入ってないよ」
 

嫌がる素振りも見せず、冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出してる。


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