*ミーくんの好きなひと*
触れている間は安心できる。
でも、
「じゃあな」
「うん、ばいばい……」
私を家まで送って、自転車で帰っていくミーくんの後姿をそっと見送る。
一度その体温から離れてしまうと、たちまち不安の種が発芽する。
胸の底から芽を伸ばして、あっという間に心を埋め尽くす。
暗闇に解けていく背中を眺めながら、胸の前で右手をきつく握った。
誰?
あの女の子は誰なの?
ミーくんの唖然とした表情が目に焼きついてる。