*ミーくんの好きなひと*


隙間から見えた景色の中に、サッカーボールがひとつ転がっていた。


 
ころころと動いて、芝生の上で止まる。
 
けど、周辺に人影はない。



「な、なに?」


「あのボールどっから――」
 


ぽつぽつと疑問の声が零れ落ちたとき、




「見ーちゃった」
 



低い声が降ってきた。
 

まさしく頭上から。


 


< 50 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop