*ミーくんの好きなひと*


「ありがとな」
 

ポケットから携帯を取り出しながら、


「続き、どうぞ」
 

先を促すようにひらひらと手を振る。


 

「え……」
 

私を含め、その場の全員が固まった。



なっ……なにそれ。
 
止めるつもりじゃなかったの!? 
 


固まった空気の中で、枝葉だけが風に揺れてる。


「なに、どうしたの? ほら、続きは?」
 

ひどく軽快な声に促されて、部員たちが徐々に動き出す。


「そ、そうだよね。森川君だって、こいつが憎いよね」
 

勇気付けられた彼女たちが、再び私を取り囲む。


「そ、そうだよ! こんな性格の悪い勘違い女、本当に好きになる男なんかいるわけないよ!」
 

余計なお世話だ。
 

そう叫びたいのを堪えながら、必死に身をかがめる。
 

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