*ミーくんの好きなひと*
絶望的な状況で、ミーくんの顔が思い浮かんだ。
途端に悲しくなってくる。
ミーくんも……本当は私を好きじゃないのかもしれない。
そう思った瞬間、力が緩んで両手を取られそうになる。
と、
「別に……憎いとは言ってないけどね」
倉庫の上から声が落ちてきた。
見上げると、森川が携帯をこちらにかざしている。
「も、森川君、何してるの……?」
チア部員の言葉に、森川は表情も変えずに答える。
「ん? 君らの暴挙を撮ってあげてんだよ。ほら、続き続き」
唖然としてる私たちにかまわず、彼は言葉を続ける。
「最近のムービーって感度いいから顔まではっきり」
「な……」
「で、大勢で1人を囲んで、何の遊びをしようとしてんの?」