*ミーくんの好きなひと*
「保健室! あ、歩けないのか」
別に、この傷のせいで立てないわけじゃないのに。
私よりも必死にあれこれ考えてる。
「おぶってくから、背中に」
片膝を地面についてそんなことを言い出すから、慌てて首を振った。
「い、いらない!」
そんなの目立ちすぎる!
「ただの擦り傷だし」
固辞すると、森川は困ったように眉をひそめて立ち上がった。
「ちょっと待ってて」
「え、ちょ」
待って、と言う間もなく駆け出していく。
「なんなの、あれは……」
思わずつぶやいた。
自分をふった女なんて放っておけばいいのに。