*ミーくんの好きなひと*
視界にあるスニーカーは苛立ったように地面を叩いてる。
そして、憤りの混じった声が響いた。
「分かってんのか? 自分が今何を――」
お説教なんか聞きたくないよ。
だってミーくんは、私なんて必要ないんでしょ。
別れるんだから、もうどうだっていいじゃない。
「ミーくんには関係ない!」
叫んだ瞬間、腕を強く掴まれた。
「関係ないわけないだろ!」
怒声が薄闇を震わせる。
初めて目の当たりにした剣幕に、身体が固まった。
「すいません、こいつ、俺のツレなんで」
サラリーマンに言い放つと、ミーくんは私の腕を引っ張って、有無を言わさず歩き出した。