*ミーくんの好きなひと*


「しょっちゅうあんなふうに声かけられるし、学校でもよく告白されるんだよ」

「うん」
 

私の言葉に、前を向いたまま頷く。
 
その顔を見上げた途端、涙が滲んだ。


「……男心を平気で傷つける、嫌なオンナなんだよ」


「萌はいい女だよ」
 


立ち止まって、ミーくんがこっちを向いた。
 
少し寂しそうな、真剣な表情。



「……間髪いれずに答えないでよ」
 

涙声になってる私の手を、きつく握り締めて、



「幸せになってほしい」
 


苦しそうに呻いた。

< 80 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop