*ミーくんの好きなひと*
突如言われた言葉に、心がささくれ立つ。
……なんなの。
幸せになってほしい、なんて。
「別れるつもりなくせに……放っておいてよ」
静かに言うと、
「ごめん」
ミーくんは頭を垂れた。
人通りのない道の真ん中で、外灯に見下ろされて、まるで懺悔するみたいに口を開く。
「俺は幸せにしてやれないけど、でも、萌には幸せになってほしいんだ」
「……なに、それ」
声が震えた。
勝手すぎるよ、そんなの。
「別の女のとこに行くために、私をふるくせにっ」
「行かない」
強い口調に遮られて、息を呑む。