*ミーくんの好きなひと*



「……行かないよ」
 

私をじっと見下ろして、


「あいつのとこには行かない」
 

ミーくんはハッキリと言い切る。


「だったら……」
 


別れなきゃいけない理由が、やっぱりよく分からない。
 

納得のいっていない私を見て、ミーくんは悲しそうに微笑んだ。



「ただ……思い出したんだ」

「思い出した?」
 

何を――?




「自分の中の約束」
 



そう言って、彼は暗い路地を眺めた。


< 82 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop