*ミーくんの好きなひと*
同じ家で暮らし、ミーくんと血の繋がらないお姉さんは惹かれあった。
互いが磁石で引き寄せられるように、自然に……、運命的に。
「……どうして、離れちゃったの……?」
お互い好き同士で、姉弟といっても血はつながってなくて、何の障害もないのに、なぜ、ミーくんは今、一人で暮らしているの?
問いかけると、黒い瞳が地面を見下ろす。
「彼女は何より、家族を重んじる人だった」
血の繋がらないお姉さんは、ミーくんのことを強く想っていた。
それは『異性として』であり、『家族として』でもあった。
「幸せになれって、言われたんだ……」
そう言う彼の表情は、苦しみなんて微塵もないみたいに柔らかい。
でも私には分かってしまう。