*ミーくんの好きなひと*



ミーくんを好きだからこそ。
 



その細い身体に、胸の奥に、消化しきれていない『彼女』への想いが、たくさん詰まってることを。
 

……今のミーくんを形作るほどに。 




「生まれ変わるつもりで……一から出直すつもりで、家を出たんだ。できる限りの努力をして、いい医者になってやろうと思って」
 


ミーくんを導いてるのは、まぎれもない彼女の言葉。





「……あたしとは、幸せになれないってこと?」
 


声を震わせる私に、優しく微笑む。



「幸せだったよ」
 


迷いのない答えに、涙が落ちた。
 




明確な目標が掲げられていて。
 

そこにたどり着くまで、ミーくんは他のことに心を割きたくないのだ。
 



だから、最初にあんな約束をした。
 



――俺との未来は期待しないで。
 






……勝てない。
 

どんなに頑張っても、今のミーくんを作り上げた人に、敵うわけないよ……



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