*ミーくんの好きなひと*


色白の顔はいっそう青白く、精気が抜け落ちてしまったようで、胸が痛くなる。


「なにその顔。死んでんじゃん」
 

あえて冷たく言うと、ミーくんは疲れた顔でかすかに微笑んだ。
 

それは、私に必死に想われてるがゆえの、心苦しい表情、だ。
 

泣きそうになる。
 



人の心は、どうして対(つい)じゃないんだろう。
 

それぞれ選ばれた2人だけが想い合える世界なら、こんなに苦しむこともないのに。
 


私も、森川も、


……ミーくんも。




「勘違いしないで。ただ、けじめをつけに来ただけだから」
 

私も、写真の中のあの人みたいに、ミーくんに必死に想われたかったな。
 

心とはうらはらに、眉をひそめてしかめ面を作った。



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