*ミーくんの好きなひと*
「だいたい、いつ医者になるんだか分かんないような奴、こっちから願い下げだし」
声が震えそうになって、あわてて唇を噛む。
車も人も通らない小さな交差点で、愛しい人と向き合ってるのに。
そばに行って抱きついてはいけないんだ。
肺を締め付けられたように、息がしづらい。
「あ、あんたなんかに、あたしの大事な時間を費やすなんてもったいない」
ミーくんのためなら、どんな犠牲もいとわないよ。
「……うん」
私をまっすぐに見つめて、すべてを見透かしたように、静かにうなずく。
涙がこぼれそうになって、必死にこらえた。