暴露 (秘密を知ってしまった・・・)
10
課長の後を夢中で追いかけた。
見失わないよう必死になった。しかし、見つかるわけにもいかない。
大きな通りから、小さな路地に入っていく。その後も何回か、課長は路地を曲がった。
次第に周りは怪しい雰囲気となってきた。外国人は多くなるし、歩いている日本人も真っ当なビジネスマンとは言い難い。
(やだ~。こわい~~・・・)
このまま追っていいものか迷った。しかし、戻ったとしても安全な道に出るには、結構歩かないといけないようだ。万が一のときは課長に助けを求めればいい、課長を追うことに決めた。
それにしても視線をさっきから感じる。気のせいではない。その視線の主が、私に近づいてくるようだ。派手なシャツを着ている男性で、まだ若い・・・と思う。
彼は明らかに私に用事があるようだ!!
道を尋ねてくる雰囲気ではない・・・。そもそも私に道を聞かれても答えられないし~。
ためらわずに、走った。逃げた。課長の後を追いかけた。
後ろを振り返り、視線の主がいないことを確かめてから走るのをやめた。ほっとした。
(課長は??)
その課長は、ちょうどお店に入るところのようだ。
店の全体を3色のネオン管で装飾したお店で、一見しただけではどういうお店か分からない。ドアの開閉で見える店内は、薄暗く大音量の音楽が流れている。出入りしているお客は若い人ばかりのようで、さらにほとんどが頭髪を色とりどりで装飾している。髪が器用に直立させてあるのもあれば、周りをそり上げ頭頂部だけを残してさらに編んで複雑に渦巻かせてあるのもある。レゲェ風というのだろうか、みつ編を幾層にも編んでいる手の込んだものもあった。
(その手のお店なんだわ・・・)と思ったが、実際のところ、その手の人がどういう人なのか検討がつかない。まったくもって、異次元の世界だ。
課長がこの店を常連にているのかしら?
もしかして、お店で着替えているのだろうか?
ヘアースタイルは、どうするのだろう?
しかし、あの寝癖では~~、ハハハ。
でも、こんなお店に出入りしているくらいでは、秘密めかしてるわけでもなさそうだ。少し意外なだけだ。
期待がはずれ、課長の追跡に一応の終止符を打った加世は、この路地からどうやって安全に帰ろうかと考えをめぐらせていた。
そのときだ。課長が人を連れて店から出てきた。その人の姿、形は、課長とは違って場違いなものではない。店の外で話をしようという会話があったのかもしれない。店内ではろくに会話が聞き取れないのだろう。
しかし、二人が話し込んでいる様子が普通ではない。課長の相手がすごく怒っているようで辺りをはばからず叫んでいるようだ。課長は課長で、ひるむ様子もなく冷静に相手と接しているようだ。さらに課長が相手の腕をとり、どこかに連れて行こうとするかの行動をとった。手をとられて、さらに憤慨した相手が自分の手を自分の体に取り戻す。
一触触発だ!!
殴り合いが始まるのではないかとハラハラする。
しかし、殴り合いまでには発展せずに、相手は課長をしばらくにらみつけた後に店内に戻っていった。課長はというと、「ハァー・・・」と声こそ聞こえなかったが、大きくため息をついたのがありありと見て取れた。
きびすを返して課長は店から遠ざかっていく。加世もその後を何とはなしについていく。
疲れきっていた。もう追跡はやめた。
もう課長の正体とかはどうでもよかった。早く帰宅したかった。課長についていけば、安全な大通りまで戻れるだろうくらいの軽い気持ちだった。
しかし、それは思わぬ形であらわれた・・・。
見失わないよう必死になった。しかし、見つかるわけにもいかない。
大きな通りから、小さな路地に入っていく。その後も何回か、課長は路地を曲がった。
次第に周りは怪しい雰囲気となってきた。外国人は多くなるし、歩いている日本人も真っ当なビジネスマンとは言い難い。
(やだ~。こわい~~・・・)
このまま追っていいものか迷った。しかし、戻ったとしても安全な道に出るには、結構歩かないといけないようだ。万が一のときは課長に助けを求めればいい、課長を追うことに決めた。
それにしても視線をさっきから感じる。気のせいではない。その視線の主が、私に近づいてくるようだ。派手なシャツを着ている男性で、まだ若い・・・と思う。
彼は明らかに私に用事があるようだ!!
道を尋ねてくる雰囲気ではない・・・。そもそも私に道を聞かれても答えられないし~。
ためらわずに、走った。逃げた。課長の後を追いかけた。
後ろを振り返り、視線の主がいないことを確かめてから走るのをやめた。ほっとした。
(課長は??)
その課長は、ちょうどお店に入るところのようだ。
店の全体を3色のネオン管で装飾したお店で、一見しただけではどういうお店か分からない。ドアの開閉で見える店内は、薄暗く大音量の音楽が流れている。出入りしているお客は若い人ばかりのようで、さらにほとんどが頭髪を色とりどりで装飾している。髪が器用に直立させてあるのもあれば、周りをそり上げ頭頂部だけを残してさらに編んで複雑に渦巻かせてあるのもある。レゲェ風というのだろうか、みつ編を幾層にも編んでいる手の込んだものもあった。
(その手のお店なんだわ・・・)と思ったが、実際のところ、その手の人がどういう人なのか検討がつかない。まったくもって、異次元の世界だ。
課長がこの店を常連にているのかしら?
もしかして、お店で着替えているのだろうか?
ヘアースタイルは、どうするのだろう?
しかし、あの寝癖では~~、ハハハ。
でも、こんなお店に出入りしているくらいでは、秘密めかしてるわけでもなさそうだ。少し意外なだけだ。
期待がはずれ、課長の追跡に一応の終止符を打った加世は、この路地からどうやって安全に帰ろうかと考えをめぐらせていた。
そのときだ。課長が人を連れて店から出てきた。その人の姿、形は、課長とは違って場違いなものではない。店の外で話をしようという会話があったのかもしれない。店内ではろくに会話が聞き取れないのだろう。
しかし、二人が話し込んでいる様子が普通ではない。課長の相手がすごく怒っているようで辺りをはばからず叫んでいるようだ。課長は課長で、ひるむ様子もなく冷静に相手と接しているようだ。さらに課長が相手の腕をとり、どこかに連れて行こうとするかの行動をとった。手をとられて、さらに憤慨した相手が自分の手を自分の体に取り戻す。
一触触発だ!!
殴り合いが始まるのではないかとハラハラする。
しかし、殴り合いまでには発展せずに、相手は課長をしばらくにらみつけた後に店内に戻っていった。課長はというと、「ハァー・・・」と声こそ聞こえなかったが、大きくため息をついたのがありありと見て取れた。
きびすを返して課長は店から遠ざかっていく。加世もその後を何とはなしについていく。
疲れきっていた。もう追跡はやめた。
もう課長の正体とかはどうでもよかった。早く帰宅したかった。課長についていけば、安全な大通りまで戻れるだろうくらいの軽い気持ちだった。
しかし、それは思わぬ形であらわれた・・・。