Extreme city
「あ゛ぁっ!試合前に気分悪ィぜ!」

大声を張り上げ、不動は控え室を出て行った。

バタン!とドアが大きな音を立てる。

「あの…有り難うございます、羅刹さん」

庇ってくれた事に対して礼を言う明日葉。

羅刹は特に何も言う事なく、腕組みして立っている。

「…明日葉、本当に処女を散らされたのだな」

言ったのは黒ずくめの女性、十六夜(いざよい)。

ポーカーフェイスなのに言う事はキツイ。

無言のまま、一度だけ頷く明日葉。

「屈辱だったろうが…お前の決めた敗北の代償だ…仕方ないな」

「いえ…」

十六夜の言葉に、明日葉は首を横に振る。

「屈辱なんて…敗者には当然の事です。それに…」

彼女の頬が、更に赤く染まる。

「レクスさんは…とても優しくしてくれました…」

その表情は、満更でもないという風にも見えた。

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