朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「リードしたの俺じゃんかョ」
まだ裸か真也!!
馬鹿だ!
外は真冬なのに!
すぐ後から出てきた真ちゃんが、ギターケースを素肌の肩に掛け、イヤラシいチェリーピンクの花柄シャツと、レザーのジャケットとを、私に放り投げた。
「お?何その顔」
「……真ちゃん…公道で乳首ピアスは破廉恥だよ…」
うまく受け取れた服を、道に引きずらないように軽く畳みながら、呟いた。
横から哲の手が伸びて来て、せっかく畳んだ服を、真ちゃんに投げ返す。
「蜜、次のバンド、最後だけど見ていくか?」
軽く肩に触れて、私の体の向きを変えさせる哲の、存在。
「さっき楽屋で会ったけど、ギタリスト、なかなかのイケメンだったぞ」
「ドラムのヤツ、タッパ有りすぎだろアレ」
もそもそとシャツに腕を通しながら、2mくらいあったんじゃね?とうそぶく、真ちゃんの、存在。
私は、首を横に振って、お腹すいた、と。
すごく満ち足りたような思いで、哲を見上げた。