朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
哲は、料理に文句を言わない。
その代わり、特に自発的に褒めたりもしない。
「……おいしい、かな?」
「うん、うまいよ」
ひとくちの大きい哲が、私の作るものを躊躇いなく口に入れるのを、嬉しいような、寂しいような気持ちで見た。
「………まあ、いっか」
いつもと同じセリフだけど、食べてるし。
きっと美味しいに違いない。
雪音ちゃんは、料理したっけ?
哲に美味しいものを作ってくれるといいな。
別に買ってきたっていいけれど。
こんなふうに、小さいテーブルで向かい合って、ごはんが食べられるくらい仲良くしてくれると、いいな。
うん、本当に。
こんなに私に良くしてくれるんだもん。
すぐ怒るけど。
哲はちゃんと好きな人と、ごはん食べないとね。
いつまでも、私の面倒ばかり見てたら、駄目だと思うんだ。