朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「…大丈夫。ごめん、哲は怪我しなかった?」
……どうしよう。
「大丈夫だけど……蜜?」
やだ、覗き込まないで。
どうしよう。
哲はいつもと変わらないはずなのに。
なんでこんなに……。
…こんなに?
屋根の上で、ヒヨドリが。
嘴を大きく開けて大乱闘。
昨日、遼と買ったリンゴを食べる順番で、揉めている。
「………蜜?」
やっぱりどこか痛いのか? と、私の腕を取り、指先からじっくり見つめた哲の。
その手を、振り払った。
「かっ…」
「か?」
私の顔は、真っ赤なはずだ。
哲は、振り払われた事は気にしなかったのか、目を逸らした私を、わざとなんじゃないかと思うほど執拗に覗き込む。
かっ…
「……かっ…こ……良すぎんだよ!馬鹿ぁぁ!!!」