朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
哲は、当たり前の顔で私の食器棚から自分のカップを取り出した。
同じデザイン、同じサイズ。
ぱっと見、お揃いというよりも、同じものだ。
だけど、ちょっと違う。
違わないんだけど、違うんだ。
そっちが哲ので、こっちが私。
私も哲も、間違えない。
「哲のごはん、何?」
「サラダ巻きと、鉄火巻きとトロサーモン巻き」
「…巻きばっかりだな!」
「あとイクラのおにぎり」
…また?
……イクラ…そんなに好きか。
私は少し楽しくなって、笑いながら。
「巻き」だらけのお昼を買った哲に合うように、玄米茶の瓶を、開けた。
同じ職場で、隣の部屋で。
たくさん一緒に食べてきたけど、最近、思うんだ。
哲がさ、彼女作らないのって。
モテないからじゃないよね?
手の掛かる私の性別が女で、隣に住んでて…こうやって甘えるから、だよね?