朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


鳥の、声。
雀じゃなく…カラスじゃなく。

鳩でもなくて。

この雑な声は、ヒヨドリ。


ベランダの手すりに止まる、爪の音。


1羽…2羽?
カチカチ、カチカチと。



「…蜜」


リンゴ…あげなきゃ。
あれ?リンゴあったっけ?

ああもう、そんなに騒がないでよ。

カチカチ、爪もうるさいって。


リンゴなかったらミカンあげるから…

…あれ?ミカンあったっけ?




「蜜」


今起きる…今起きるから



「蜜!!」

「……っ!!」



きゅうっ、と全身の毛穴が慌てて締まるのが解るくらいの、突然の冷気。

剥がされた毛布の外は、極寒。



「鳥!うっさいんだけど!?」

「…哲…さむい…」


むき出しの足を抱え込むように縮こまり、私は目を開けないまま、剥がされた毛布を探った。



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