朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



…………あ、れ?

…私、遼と。




「…俺じゃ、…駄目かなあ?」




キス、してる。



遼の、匂い。

閉じきれなかった瞼のせいで、視界いっぱいが、遼の匂い。

それはすぐに離れるようなものじゃなくて。


僅かに角度を変えつつ、ゆっくりと触れる唇が。

長い腕に絡め取られた、体が。



ただ単純に、遼との友情は、壊れちゃったんだ、と。

不安定に揺れた私の中で、そんな喪失感ばかりが、大きくて。



まるで不協和音のように。

下手なヴァイオリンが、軋むように。


指先から血を流す、真っ青な哲を抱えていた時のように。

耳の中で血管が弾け飛んだような、感覚。




「蜜…」


やめて。
呼ばないで。

ごめんなさい。
泣いたりして、ごめん。

縋って、ごめんなさい。




哲、哲。
どうしよう。



遼が、怖い。




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