朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
どうして。
どうして、受け入れちゃったんだろう。
好きなんだ、と苦しそうに囁く遼に。
もしかしたら…同情した?
この先絶対に、友達には戻れない、遼。
「………」
かろうじて、倒されまいと後ろに手をついた私は、眼鏡を外し、更に体を寄せた遼の目に。
遼にとっての私はずっと「蜜」ではなく「女」だったんだ、と。
痛いくらいに、理解した。
「蜜、何か……言って?」
ピアノと金管のセッション。
これからやる予定だった、金管八重奏のアンサンブル曲。
二度と演れない。
「……名前、呼ばないでくれるなら、…しても、いい」
もう遼の後ろには、天井が見える。
どうせ壊れたならば。
修復の余地がないほどに、壊してしまおう。
トランペットも。
吹けなくなるほどに。