朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


「別に…哲に会いたいとか言ってないじゃないですか」

「うん、そうだけどさ。ほら、労災の書類とかあるから、行ってきてよ」


………あ~、労災。

…そんなに急いで書かなきゃいけないんだ?



「あとでご両親こっち来るって言ってたけどねー」

「…じゃあその時でいいじゃないですか!!」



面白そうに笑う婿様が、クラフト紙で出来た小さな手提げ紙袋を私に押し付けた。


「いいから、コレも持って行ってやってよ、…あぁ!見なくて良いから!」


……渡された紙袋の口は普通に開いていたから。

私は何の気なしに、中を覗き込んで、そのまま口を折り畳んだ。



「ガムテープ…ガムテープ…」


「ああッ…そんなにグルグル巻いたら…!片手なのに哲が開けられないじゃないか…ッ」



うっさぃわ!!!!
このエロジジイ!!!


正直、今は哲が男だとは、思いたくなかったのに!



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