朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
…3つでいい、そんなに要らない、と。
ゆっくり手を離した哲が、ふてくされたように、ベッドに転がり背を向けたのを、何か恐ろしいもののように、見つめた。
不安定に揺れる私を、哲が見逃す訳はない。
どうして揺れているのか吐露しない私に、苛ついたんだと、思った。
工場に帰るまでの間、Black Sabbath を聴いていた。
あまり、好きではない。
好きではないけれど、トニー·アイオミーのギターの音が。
もう、仕方ない、のかも知れない、と。
前向きに考えて欲しいと言った遼の声を、繰り返し思い出させた。
きっと、飽きるまでは私を愛してくれる筈だ。
あの、私のトランペットを褒めてくれた、綺麗なトロンボーン奏者は、きっと。
哲の居なくなった私の隙間を、埋めてくれる。
の…かも、知れない。