朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「婿様よぉ、哲のヤツいねぇんだから、あんましつこくしても嬢ちゃん泣くだけだぜ~」
機械の陰から顔を出したシゲちゃんが、呆れたように、そう言った。
「そ…うなんだよねぇ…そろそろ哲が睨む頃なんだけどなぁ」
がっくり、とうなだれた婿様を見ていると、確かに婿様は寂しいのかも知れない、と思えてきた。
部屋に戻り、手を洗いながら。
哲は愛されてるんだなぁ、なんて。
不思議と嬉しい気持ちに、なった。
まあ、哲をからかいたいなら、本人を直接からかって欲しいとこだけど。
なんで私がセクハラされなきゃならないんだ。
「あ、オランジェット食べて良いんだっけ」
哲の部屋に、取りに行かないとね。
居ないのに部屋に入るのは、ちょっと気がひける…ような気はするけど……今更気にしたって意味がない気も、した。