朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「私が、なに?」
わざわざ、横を向いた顔を覗き込み直してみれば、哲は。
諦めたように、息をついた。
「蜜が、…いくら電話しても出ないから」
「…え?」
「…また、あいつ来たのかと……思っ……て」
…え?
電話?
あいつ?って………
……………遼…?
「……ごめ…私、寝て…た…」
「…うん……見た」
どんな顔をしたらいいのか、解らない。
哲の目を見ていいのかも、解らない。
私、ものすごくドキドキしてる。
心配されて、喜んでる…?
駄目。そんなの。
こんなドキドキしてたら、バレてしまう。
私はひとりで、右往左往。
哲の、ふてくされたような横顔を見つめながら、無理に。
乾いた笑い声を、あげた。
「映画!……雪音ちゃんが、哲の怪我が落ち着いたら行こうって!だから!」
お茶、飲んだら…
病院帰りなよ。
……ごめん。
ごめん哲。
私の心配なんか、そろそろ、しなくていい。
本当に。