朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


だいぶ、落ち着いたと思う。

哲ごめんね、ありがとね。


入院してる時くらい、心配かけたくなかったのは本当なんだけど。

こんな夜中に、病院抜け出すなんて真似させて、ごめんね。


寝てただけなんて。
それも哲の部屋で。

恥ずかしい。でも嬉しい。


同じ夜中に来てくれたのに、遼の時のように、ぐらぐらと視界の揺れるような不安感もなくて。

夕方から眠ったにも関わらず。


哲のおかげか。
生姜入り紅茶のおかげか。

メールのひとつ、婿様からの“土曜日は休みましょう”という内容を確認してすぐに。


私は、病院に戻るためにタクシーに乗り込んだ哲の、冷たかった足先を思い出しながら、うとうとと、まどろんだ。



曲は、ROXY MUSIC の…なんだっけな。甘い、バラード。

この人の目は、綺麗な灰青なんだよなあ、なんて。


夢うつつに、そう考えていた。



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