朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


リンゴを、ゴムの木に刺した。

面白いもので、丸のままのリンゴの皮を、ピーラーで2ヶ所くらい剥いておくと、皮だけ綺麗に残す。

器用に丸いリンゴの中身だけを、くり抜くように食べる。



「…生意気な」

私は皮も食べるのに。
ヒヨドリは残すのか。


ベランダの窓を閉めて、忘れないように鍵も掛けた。

小さなテーブルには、チョコレートの包み紙。


シンクには、哲と私の、マグカップ。

ガラス製の、ポット。



ともすれば沈みがちな気持ちを払いのけようと。

ちっとも気分じゃなかったけれど、CDの棚から1枚、抜き取った。



ジョニー·ロットン。
かき鳴らすような、声。

シド·ヴィシャスの音。


ちっとも気分じゃなかったけれど。

なにかを跳ね除けたい時には、最高に。


奮い立たせてくれる。




< 193 / 354 >

この作品をシェア

pagetop