朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
リンゴを、ゴムの木に刺した。
面白いもので、丸のままのリンゴの皮を、ピーラーで2ヶ所くらい剥いておくと、皮だけ綺麗に残す。
器用に丸いリンゴの中身だけを、くり抜くように食べる。
「…生意気な」
私は皮も食べるのに。
ヒヨドリは残すのか。
ベランダの窓を閉めて、忘れないように鍵も掛けた。
小さなテーブルには、チョコレートの包み紙。
シンクには、哲と私の、マグカップ。
ガラス製の、ポット。
ともすれば沈みがちな気持ちを払いのけようと。
ちっとも気分じゃなかったけれど、CDの棚から1枚、抜き取った。
ジョニー·ロットン。
かき鳴らすような、声。
シド·ヴィシャスの音。
ちっとも気分じゃなかったけれど。
なにかを跳ね除けたい時には、最高に。
奮い立たせてくれる。