朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「…………哲」
「……なんスか」
ふるふると髭を震わせて、婿様は面白そうに、目を光らせた。
「……お前、可愛すぎだ!」
「……………」
大丈夫だ!
オレには可愛い嫁さんがいるからな!
余計な心配はするな!
思う存分やれ!
そして振られろ!!
青春だなあ!はっはっはっ!
と。
馬鹿みたいな笑い声を上げた婿様とは反対に、哲は、やや憮然としたような顔で、肩をすくめただけだった。
なんだろう。
なんの話だ。
ちょっと!
なんで私、仲間外れ!?
哲は振られるのか!?
まだ会ってもいないのに!?
……や…ごめん。
これ、きっと、…私の事だ。
婿様は、哲は私を好きだと思ってる。
哲がちゃんと否定しないもんだから、すっかり思い込んでる。
哲が……婿様の思うように、もし私を好きだとしたら、私。
もう、一緒に働けないのに。