朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



「シャツ、脱がす?」

「いい」


薬指と親指と。

ちゃんと動く右手とで、器用にパーカーを脱いで、中のTシャツも、事も無げに。



「ベルト外す?」

「できる」


おお、ほんとだ。
哲、器用だなあ。

これでなんで靴下履けないんだろ。



「ぱんつ…」

「馬鹿」



…………だよね。
今、自分でびっくりしたわ。



「髪、洗える?」

「…………」



哲は小さく息を吐くと、呆れたように、チラリと私を見た。


いつまでそこで見てるつもりですか?、と。

蜜のえっち。


と。



………………と!




…なっ…何が「えっち」だ!
ちっとも可愛くないわっ!

一応、心配してるのに!
すごく心配してるのに!



「ははっ、蜜、蜜、ごめん。大丈夫、髪洗えるから。そんな怒んないで」


哲の、胸にいる紫色の蝶の辺りを、ぱちんッ、と叩いて。

確かに私はなんで、脱衣所まで付いて来て、堂々と入浴を見守る気でいるんだ!


私の馬鹿ッ!!




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