朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


楽団の練習に行かない事について、哲はそれ以上、話題にはしなかった。

ケーキの他に食べた物は、チョコレート。


特に意識もしていなかったけれど、確かにそれだけだ。



私はすぐに、食欲が無くなる。

疲れても食べられなくなるし、何かあると、食べたくなくなる。


今も。

私の席には、ヨーグルトだけが未開封のまま置いてある。




「蜜、これ、旨いから」


哲のフォークが、牡蠣と春菊をより分ける。

パスタも、平皿の中で2つに分けられる。



「……私の分、ちゃんとある」

「いいから」


出た。“いいから”。

そう言えば、私が従うと思ってる。



「それ、哲の分!」

「いいから」


いっ…
いいから、って…


「無理に突っ込んでもいいんだけど……嫌だろ?」

「いっ…………」


嫌だよ!!

ちょっと待って、今自分のフォーク持ってくるから!




< 211 / 354 >

この作品をシェア

pagetop