朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
楽団の練習に行かない事について、哲はそれ以上、話題にはしなかった。
ケーキの他に食べた物は、チョコレート。
特に意識もしていなかったけれど、確かにそれだけだ。
私はすぐに、食欲が無くなる。
疲れても食べられなくなるし、何かあると、食べたくなくなる。
今も。
私の席には、ヨーグルトだけが未開封のまま置いてある。
「蜜、これ、旨いから」
哲のフォークが、牡蠣と春菊をより分ける。
パスタも、平皿の中で2つに分けられる。
「……私の分、ちゃんとある」
「いいから」
出た。“いいから”。
そう言えば、私が従うと思ってる。
「それ、哲の分!」
「いいから」
いっ…
いいから、って…
「無理に突っ込んでもいいんだけど……嫌だろ?」
「いっ…………」
嫌だよ!!
ちょっと待って、今自分のフォーク持ってくるから!