朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
…まあ、いいか、な。
哲、帰って来たし。
指、無くならなかったし。
練習も行かないから、遼と会うこともない。
どうやって、遼と距離を置こう。
このまま、団長に電話して辞めてしまえば…二度と会わなくて済むかな…。
哲が。
雪音ちゃんと付き合いだした時に、私に訪れるはずの穴を。
埋めてくれる、のかも知れない…と思いはしたけど。
そんなんじゃ、やっぱり遼に申し訳ないよね。
だって、私。
愛せないもの。
「蜜」
フォークを持ったまま。
一回り小さな平皿を片手に、ぼんやりしていた私の口元に、結構な量のパスタが、押し付けられた。
「開けて」
哲は。
何もかもどうでもいいかのように苛立たしげに眉をひそめ、少し開いた私の口に、パスタを強引に、押し込んだ。