朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


私の、定まらない揺れた思考は、呑み込まれるように、沈んでいく。


遼を傷つけたくは、ない。
私も、傷つきたく、ない。

遼の望むままに…したら。

私、寂しくなくなる?

哲が居なくなっても、寂しくならないで、済む?



茫然と、ただ遼を見上げた。

何が、どうなっちゃったの?
私、練習休んだから?

それとも、中で出すなんてひどい!って……怒らなかった、から?


私が哲を、好きだから?




私は、動けなかった。

耳の奥で、ピアノ曲が鳴る。
ラフマニノフの、連弾。

この前の、記憶。




「…遼、やだ」


不意に口を突いた、簡単な拒絶の言葉。

色々と言わなきゃいけないと思っていたのに、こぼれたのは、理由も解らないような、単純で子供じみた、弱々しい、抵抗。



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