朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


結局、私がなんとなくさわれた温度は、哲いわく水で。



「………埒あかねー」


キュッとシャワーを止めると、私にタオルを持たせ、来い、と。

婿様が前にくれた、黒のフォアローゼスの瓶を、開けた。



哲の部屋の、私の食器。

小さな青い、陶器のカップ。

もしかしたら、エスプレッソカップかも知れないそれに、なみなみと注がれた琥珀のようなアルコール。


とくとく、と。
瓶の鳴る、耳に温かい、音。

でも私、そんなに呑めないよ。




「いいから」

「…いい、くないって」

無理だって。


「飲めるだけで、いいから」

「………」


ここ座れ、と、指し示された、哲の隣。

私は、そこに座っていいんだろうか。


昨日までとは、違う気がする。

まだギリギリ壊れてはいないと思うけど、座ったら、壊れちゃうんじゃ、ないのかな…。



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