朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「……蜜?」
「……あ、うん…」
どうしよう。
なんだか緊張する。
こんなに、哲を意識したのは初めてかも知れない。
「飲めるだけ飲んだら、ちょっとここに寝ろ」
奇妙な緊張は、解ける様子がない。
ここに寝るな、とはよく言われたけれど、寝ろなんて。
ひとくち、口に含んだ。
飲みつけない度数のアルコールは、一瞬で私の喉から、胃までを熱く焼いた。
「…んんんんん………っ!」
熱い熱い!
痛いよこれ!
「もうひとくち」
「…ぅんんん……」
私は言われるままに、口をつけ、セントバーナードの首についた小さな酒樽の意味を、身を持って、知った。
「も……むり…っ」
セントバーナードは、酒に弱い遭難者にも、こうやって無理に飲ませるんだろうか。
焼けるように熱くなった胃が、温まった血を、全身に、流し始めた。