朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「て、つ…、もういらない」
多分、私。
……酔った。
耳の奥で、杉崎くんの踏むバスドラムが、鼓動を刻んでいる。
爪の色が、ピンク色にもどったけれど、哲の満足する表面温度には達していないようで、ペタペタと私を触った哲は。
私の残したアルコールを、ひとくちで自分の喉に流し込むと、ベッドの布団をめくり上げた。
「…あ~……しない、から」
「……………しっ…」
あっ…当たり前だ!
私が哲に、そんな事されると思うわけない!
………と、いいな?
ちょっと、…言い切れない。
だって、“しないから”なんて言わなきゃならない、って思わせた、んでしょう?
…せ、せ……セントバーナードだって!
遭難者を体温で暖めるし!
私、今きっと救助された遭難者さながらだし!
…はあ。
少し、ぼんやりとしてきた。
相変わらず体中の骨がズキズキしていて。
きっと暖めれば治るんだ、と。
私はおとなしく、哲のいる哲の布団の中へと、潜り込んだ。