朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
哲はあの日、一晩中私を抱えていてくれた。
変に意識したのは、私だけ。
わざと、いつもみたいに。
子供のようにもそもそと擦りよる私は、いつものように軽くあしらってくれなかった哲に、緊張した。
…布団の中でなんか、すり寄った事はないから。
もう、腹立たしいくらいに、緊張した。
アルコールの力で上がった鼓動は、喉元で鳴る。
内側から鼓膜に響く、心音。
哲の体温と、私の体温。
布団の中で同じ温度になってもまだ、抱えていてくれた。
思い出しちゃいけない。
思い出したら、緊張する。
あの哲は“哲”だったけど、どこまでもどこまでも、異性だった。
ヤバいほどに、好きだと。
認めてしまったんだから。